- 年の瀬にあたって(2024.師走)
- きょうは敬老の日(2024.9.16)
- きょうは父の日(2024.6.16)
- きょうは母の日(2024.5.12)
- 新たな旅立ちの季節(とき)(2024.春)
年の瀬にあたって
2024.師走

日本には古くから季節の移ろいを日々の暮らしに取り入れ、豊かな文化を育んできた歴史があります。でも最近は春と秋が短くなり、四季の国から夏と冬中心の二季の国に変化しているように思えてなりません。
改めまして、今年も読売新聞をご愛読いただき誠にありがとうございました。来年も引き続きよろしくお願い致します。
光陰矢の如し。ふり返ってみますと、あっという間の一年でしたが、その中にも様々な出来事や思い出がつまり、一年という歳月の絶妙さを感じたりもします。
令和六年は、元旦の能登大地震と二日の日航機と海保機の衝突炎上事故で始まり、四月には台湾でも大地震が発生し、地震の恐ろしさを見せつけられました。
二月には世界的指揮者の小澤征爾さんが、十月には名優西田敏行さんが亡くなりました。海の向こうでは、世の女性を虜にしたアラン・ドロンさんも亡くなっています。もしかしたら皆様の身近でも悲しい別れがあったのではないでしょうか。
戦禍は今年も止むことなく立場の弱い人を苦しめています。ウクライナの悲劇も中東ガザ地区の人々の苦しみも、まるで光の見えない闇の中にいるようです。
明るい話題では、何といってもパリオリンピックとパラリンピックが開催されたことです。世界各国からアスリートたちがパリに集い平和の花を咲かせてくれました。陸上やり投げの金メダリスト北口榛花選手のはじけるような笑顔がすてき過ぎます。
大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手の超人的活躍は日米の野球ファンを熱狂の渦へと巻き込んでいきました。彼はまさに現代のスーパーマン、和製クラーク・ケントですね(笑)。
日本被団協のノーベル平和賞受賞は、被爆国日本の悲願が実りました。 あの悪夢のようなコロナ禍が収まって約二年、年の瀬の街はどこも大勢の人々で大にぎわいです。あれ!? コロナは一体どこへ行ってしまったんだろうといった感じです。
トランプ旋風や裏金問題、闇バイト強盗や兵庫県知事問題など波乱の令和六年も残りわずかとなってきました。
日頃のご愛読に改めて御礼申し上げ、新しい年が皆様にとりまして健康で幸多い年となりますことを心より願っております。
きょうは敬老の日
2024.9.16

季節の暦によれば、二十四節気では今頃を「白露」といい、大気が冷えてきて露が結ぶ頃とあります。そろそろ猛暑にはお引き取りを願い、秋を感じてみたい今日この頃です。
日頃は読売新聞をご愛読いただき、誠にありがとうございます。
少し前のこと、読売新聞に興味深い記事が載っていました。それはお年寄りの呼称についてのアンケートでした。「お年寄り」は73歳以上、「おじいさん、おばあさん」は69歳、「シニア」は61歳からが好ましいというもの。なるほど、それぞれの呼び方で感じ方が微妙に違うのでしょうね。
今年喜寿を迎えたKさんは、団塊世代のおひとり。先日食事をご一緒した時、自らの来し方を振り返りながら味のある話をしてくれました。
「まさか自分が77歳の老人まっさかりをやっているとはね…(笑)。大学を卒業して製薬会社に入ったが、その頃の日本は『いけいけどんどん』の時代だったね」。
確かに当時の日本は、高度経済成長の只中にあり、きょうは昨日より、明日はきょうより良くなるぞの気運に溢れていました。『24時間働けますか』とか『モーレツ!』などの流行語が生まれたのもこの頃です。
Kさんは、さらに続けます。「でもね、私ら世代が敬老といわれ、大事にされても、一番苦労したのは、80代後半から90歳以上の先輩たちだよ。戦争を経験し、戦後の食糧難を乗り越えてきた。何といっても平和と働くことの尊さを教えてくれたからね」。
穏やかで平和そうに見える世の中ですが、元日の能登地震や南海トラフ巨大地震注意を始めとする自然災害、加速する少子化や周辺国の振る舞いなど将来への不安はつきません。
「困難な時代になったね。だけど物事はなるようにしかならないのだから、日々誠実に前向きに生きていくことだと思うよ。必ず道は開けるから」。そんな先輩の声が聞こえてくるようです。
きょうは敬老の日。皆様の長年のご労苦に深い敬意を表し、これからも変わらぬ助言や励ましの言葉をいただきたくお願い申し上げます。
どうぞお健やかにお過ごしください。
きょうは父の日
2024.6.16

雨の滴をもらい紫陽花が艶やかにその姿を見せています。紫陽花の花言葉は…色々ありますが、父の日だけに「寛容」がぴったりです。
改めまして、日頃は読売新聞をご愛読いただき誠にありがとうございます。
六月から連想する言葉は…潤うとか濡れそぼつ、温めるなど、やはり梅雨にまつわる言葉が浮かんできます。
自宅近くのお蕎麦屋さんで二つの額に目がとまりました。一つは『親父の小言』です。「義理は欠かすな」、「大酒は飲むな」や「泣きごとは言うな」等々、耳の痛い叱責が飛んできます。その隣りには『つもり違い十ヶ条』が。「深いつもりで浅いのが教養」、「厚いつもりで薄いのが人情」、厳しいところでは「あるつもりでないのが根性」など父親から思い上がるなよと言われているようです。
昭和の時代までは、父親といえば怖い、近寄り難いなど威厳の代名詞のようでしたが、平成、令和と時代が進むにつれ、そのイメージはどんどん変わってきているようです。
中学二年生のA君がお父さんへの思いを綴ってくれました。
僕のお父さんは、タクシーの運転手をしています。夜が中心の仕事なので、普段はすれ違いが多くなります。それでも明け番の日など気が向くと、僕と散歩をしてくれます。そこでは男同士の会話が生まれるのです。「お父さんは、どうしてお母さんと結婚したの?」と聞くと、「そうだなぁ…お父さんにはないものをたくさん持っているんだよ、お母さんは。でもこれは内緒だぞ(笑)」などと。
このあいだは、「父さん!人は何の為に生きるんだろうね?」と超まじめな質問をしたら、「ずいぶん難しいことを聞くなぁ…おまえは人から『ありがとう』と礼を言われたことあるだろう?人の為に何かを一生懸命する。人間って人の役に立つ為に生きてるんじゃないかな」。そう言うお父さんが大きく見えました。
すてきな父子ですね。二人が会話する様子から「一人の父親は百人の教師にまさる」という言葉を思い出しました。母の日にくらべてちょっぴり控えめな父の日ですが、だからこそ父親の重みが一層伝わってきます。
きょうは父の日。日頃のお父さんの優しさと頑張りに花束を添え感謝の気持ちを言葉にしたいと思います。
「おやじさん! 父さん! パパ! いつもありがとう、いつまでも元気でね」。
きょうは母の日
2024.5.12

青葉繁る好季節を迎えておりますが、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。日頃は読売新聞をご愛読いただき誠にありがとうございます。
五月はのびる月とも言われます。日がのびる、草木ものびる、気持ちも前向きになってくるから心ものびのびとしてくる。五月とは万物がのびやかになる月なのでしょうね。
先日伺った話を紹介させてください。
A子さんは四人兄弟の二番目、ひと月ほど前、久方ぶりに兄弟全員が山形の実家に顔を揃えたそうです。八十八歳になるお父さんは、皆忙しいのだからわざわざ集まる必要はないと言っていましたが、いざ皆の顔を見れば嬉しさを隠せないご両親でした。
その日の夕食は、昔の家族六人に戻り大いに盛り上がったそうです。宴もたけなわの頃、A子さんは傍らで子供たちの話を黙って聞いているお母さんに目がいきました。「お母さん、ずいぶん小さくなっちゃったなぁ」、そう感じた時、彼女は何か深い感慨にとらわれたそうです。
「…私の原点はここにあるのだなぁ。父と母がいて今の自分がある。これを忘れてしまったら芯のない人間になってしまうな」と。
話を聞きながら、自分も若い頃、母親につらくあたり悲しませてしまったことを思い出していました。
青春が時に難破しそうな小舟ならば、母親はその舟を守る灯台かもしれません。凪いでいる時は優美な白い姿で、嵐になれば強い光を放って船を守る灯台。その存在の大きさに改めて感謝の気持ちがつのります。
一年半前に最愛のお母さまを見送ったSさんの思いです。「名曲『涙そうそう』を聞くと歌詞のひとつひとつが胸に刺さってくるんですよ。あんなにおしゃれだったあの母が、晩年は日に日に弱っていく。思い出すだけで、さみしくなって会いたくなって涙が止まらなくなるんです」。
つらくあたってしまったあの日、小さくなった母の姿に衝撃を受けたあの時、今は亡き母への思慕。やはり母とは偉大です。
きょうは母の日。日頃は言えない感謝の気持ちを言葉にしたいと思います。
「おふくろさん! 母さん! ママ! いつもありがとう、いつまでも元気でね」。
新たな旅立ちの季節(とき)
2024.春

春爛漫の季節となりましたが、皆様にはいかがお過ごしでしょうか。日頃は読売新聞をご愛読いただき誠にありがとうございます。
元旦の夕方、突如として能登地方を襲った大地震は、今もなお大きな爪痕を被災地に残しております。被災された皆様には心からお見舞い申し上げると共に、一日も早い復旧、復興をお祈り申し上げます。
四月は新たな旅立ちの季節ともいいます。あちらこちらから歓声や激励が、中にはすすり泣きの声まで聞こえてきます。
「ついこの間までよちよち歩きだった孫が小学校に入学しましてね…」。「息子が新社会人として、きのう赴任地の札幌へ旅立ちました。さてさてどうなることやら、親としては黙って見守るしかないですね…」。孫の成長を喜ぶおじいさんとおばあさん、息子の旅立ちに不安と寂しさを隠せないご両親、子や孫を思う気持ちは、いつの世も変わりません。でもどうかご心配なく、次に会う時は逞しい青年に成長していますよ。
先日、友人のご子息の結婚式に出席してきました。披露宴で新郎が「私が今ここにあるのは、厳しく育ててくれた父と愛情あふれる母のおかげです」と胸に響く挨拶をすれば、新婦はご両親への感謝の気持ちを伝えたあと「リョウさんの家族の一員になれたことが嬉しくてたまりません」と感激の面持ち。二人の門出に幸あれと願いました。
四季折々の節目節目を大切にし、豊かな文化を育んできた先人たち。梅が春の訪れを知らせ、桃の花が追うように咲き、そしてソメイヨシノが見事な華の舞を演じてくれ、時は春満開の四月を迎えております。
入学や就職、結婚など人生の節目を経験した若者だけでなく、四月は誰でもが心機一転の旅立ちの季節かもしれません。
皆様のご多幸、ご健勝をお祈り申し上げます。
