きょうは敬老の日

2021.9.20

 コロナ禍と猛暑、そしてパンデミックの中で実施された東京オリンピック・パラリンピック。思えば無観客をはじめ、すべてが異例ずくめの大会でした。それでも世界の一流アスリートのひたむきで力強く華麗な競技や演技に、テレビの前で声援を送りながら酔いしれた方は多かったのではないでしょうか。そして、アメリカで活躍する和製ベーブルース大谷翔平は、今や日本人の誇りですらあります。どんな時でもスポーツは人々を純粋にし勇気づけてくれるものなんですね。

 毎年敬老の日を迎えますと、8月の終戦記念日を思い起こします。今年は開戦からちょうど80年、終戦から76年の年となり、気になるのはあの戦争が、はるか昔の出来事のようになってしまった印象すらあることです。加えてこの悲惨な体験をされた方もどんどん少なくなっています。決して風化させてしまうことがあってはなりません。コロナ禍という苦しい時だからこそ今を生きる者として、戦後の復興から繁栄を支えてくれた皆様への感謝の念を改めて確認させていただきます。

 過日、今年90歳になる老僧とごく少人数で話をする機会に恵まれました。師曰く「コロナは戦争と一緒で皆の心に分断と傷跡を残してしまったな。人は誰でも自分の中に他人には言えない闇を抱えて生きている。その暗闇に少しでも灯をともしてあげるのが私らの務めなんだが…。トルストイではないが、幸福な家族はどこも似たようなものだが、不幸な家族は皆それぞれの形で不幸なんだな。それでも人は生き続けるんだよ。トンネルの先の光を求めてね」。心にしみる法話でした。生きるということは百人百様、千差万別の広がりがあることを感じたものです。聞けば『生』という漢字、15くらいの読み方があるらしいですね。どうぞお試しを(笑)。

 少子化と人口減少、自然災害の頻発、そしてコロナの後先をどうするのか等々、日本が抱える悩ましい問題が山積しています。そんな難しい時代だからこそ、きょうの敬老の日を迎えられた皆様の豊かな経験と知恵が、私どもへの良き道標になると信じます。

 きょうは敬老の日、皆様の末永いご健勝とご多幸を
心よりお祈り申し上げます。

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